主人公達の手が出せないところで最初の大事件が発生し、その影響が主人公達にふりかかったところで終わっている。完全に下巻のための話なのでこの本だけで評価はしにくい。
一番気になったのは父親が娘に裏切りを勧めるシーン、裏切りの内容はくだらないものなのだがこのシーンが上巻のラストにつながってくる。こういった俗な損得勘定はこの作者の作品には縁が無い物だと思っていたので少々驚いた。
約540ページおすすめ度
★★★★★
「都市シリーズ」や「終わりのクロニクル」などのライトノベル界でも希少な大長編を書くことで知られる川上稔さんと、同じ職場の仲間で「風水街都 香港」以降の作品でイラストを担当しているさとやすさんによる最新作。
物語は通称「不可能男」と呼ばれる主人公、葵・トーリを中心に、ヒロインである自動人形のP-01s、トーリのクラスメイト達などを巻き込んだ展開に。
各国の国境上のみを航行する艦隊・武蔵を舞台に様々な物語が交錯し、話を盛り上げます。
前作である「終わりのクロニクル」では膨大な設定を用いて読む人を選びに選び抜いた川上さんですが、今回もA4・780ページに及ぶ文字で埋め尽くされた設定資料を作成し、担当編集を泣かせたそうです。
また、その設定の一部は「電撃文庫MAGAZINE」のプロローグ2からVol.3までの4回に渡って掲載されるという珍しい事態に・・・
ちなみに文庫には「電撃文庫MAGAZINE」に載せられた設定が、さらに削られて冒頭に載っているだけなので、雑誌を読んでいない方にはより難解かもしれません。
そんな訳で今作も異常なまでの設定の多さで取っ付き難い作品に仕上がっており、内容を完璧に理解するには何度か読み返す必要がありそうですが、その分読み応えはあります。
往年の川上稔ファンにはもちろん、終クロ同様に今作から読み始めても支障は無いので、今まで川上さんの作品を読んだことがない方にもお勧めです。
ひそかに・・・おすすめ度
★★★★★
こっそり、カバーの裏にまで設定資料があったりします。
今まで電撃文庫をけっこう買ってきたけど、カバーの裏まであるのはこれが初めてです。
10年目の告白おすすめ度
★★★★★
都市シリーズ、終わりのクロニクルでお馴染み、川上稔さんの最新作が満を持して。
時系列で言えば終わりのクロニクルの「AHEAD」から時代を一つ挟んだ「GENESIS」。
終わりのクロニクルでも登場する「武神」や「半竜」、「自動人形」といった単語は勿論他にも様々な用語が登場し、よりストーリーが難解になっていて、これまで以上に人を選ぶ作品かもしれません。
ですがこれまでのキャラを超える濃さを持った登場人物達による掛け合いは面白く、相変わらずセリフ回しも秀逸。
私達の知る歴史をなぞりながらも、決定的に違う歴史を紡いでいく独特の世界観。
はたして主人公は「ホライゾン」に告白できるのか。
新たな歴史を作っていく「創世記」の物語が始まります。
買うしかない!
おすすめ度 ★★★★★
全般的に言うと初心者向けだと思います
。これを知らずして新しい時代のエンターテイメントは語れません。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!