閉塞した暮らしから飛翔しようとする夢、切ない友情、最後の若さが現実にぶち当たって無惨に挫折してゆく。 夢は覚めなければならず、人は世間に染まって大人にならねばいけないのか?
ジョン・ボイドは、この後、見るべき作品としては「オデッサ・ファイル」くらいで、あまり良い役に恵まれていない。 老けてからはもう嫌味な悪役専門になってしまって、もたいないね!
ホフマンについては、「卒業」や「クレイマー・クレイマー」での若く溌剌とした青年から、「パピオン」のよれよれ男、「小さな巨人」のインディアン、 「レインマン」のサバン症候群などなどまで、その芸域の広さに只々脱帽である(ちょっとやり過ぎ?)。
New Hollywoodの象徴おすすめ度
★★★★★
とかく乾いたアコギと、湿ったハーモニカの音色が印象的な映画だが、内容もまさに二面性
を表現していて、田舎から出てきた好奇心に溢れる若者と、都会でボロ雑巾のごとく、どう
にか生きながらえている男。都会の闇に溺れながらも、どうにかこうにか反体制的に
生きる姿が心を打つ。
監督のジョン・シュレシンジャーはイギリス出身の事もあって、単に都会的な若者の荒廃を
描くんじゃなくて、客観的にみたアメリカンドリーム、そして理想と現実の圧倒的な差を
見事に描ききってるところが偉大だ。単にアメリカナイズされただけの作品とは一線を引い
ている。ジョーの少年、青年時代の回想、ラッツォの夢に膨らむ妄想なんかのシーンを巧み
にとりいれ、現実から遊離していく心の隙間の表現なんかは見事すぎる。
あどけなさと、やるせなさの両方を見事に演じきったボイトも凄いが、この映画の
ダスティン・ホフマンは神がかってるよなぁ。まさに死に向かう人間は、あんな顔をする
んだろうと思わせてくれるほどの演技作りに脱帽。
ラストのジョーの決意、そしてボイトは・・・まさに最後まで反体制の矛盾を的確すぎる
ぐらい(だから泣ける)描いたアメリカン・ニューシネマの傑作だろう。
すばらしい
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。