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日本の黒い霧〈下〉 (文春文庫)

松本 清張
おすすめ度:★★★★★
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現在の日米関係を考察するに当たり必読の書
おすすめ度 ★★★★☆

 松本氏は犯罪小説で高名な作家であると同時にノンフィクションも手がけています。
初出は昭和35年(1960)の「文藝春秋」での連載でした。昭和20年(1945)の敗戦から、
昭和26年(1951)サンフランシスコ講和条約の調印まで日本はアメリカの占領下にありました。
日本が現在のイラクのような立場であったことさえ知らない方も少なからず
いらっしゃるのではないでしょうか。本書はこのアメリカ占領の時代に続発した
不可解な犯罪、事件をその約十年後の視点で当時の資料を基に考察した「現代史」とも言える書です。

 下巻には、戦後に消えた旧日本政府所蔵のダイヤの行方、帝銀事件、鹿地亘事件、
松川事件、レッド・パージ、朝鮮戦争が取り上げられています。これらの事件を
戦後史として学校で習ったことのある方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?
日本現代史と言ってもせいぜい敗戦までがいいところではないでしょうか。しかし現在、
なぜ日本政府、官僚、多くの国会議員がこうも対米追従に固執するのかを理解するにあたり、
このアメリカ占領の時代を抜きにして考えることは不可能だと思いました。
この部分が欠落したまま日米関係や政府の意図を論じることは、
あまりにも的外れな意見になってしまうでしょう。今後の日本のとるべき路を
真剣に考えたいのであれば、上巻同様必読の書となること思います。

 それにしても驚くのは昭和35年(1960)の段階でよくこのような大胆な事件へ
の考察を出版できたと言うことです。松本氏の事件への解釈は本稿に譲るとして、
本作品を執筆するに際して、関係者も存命しているだろうし有形無形の圧力が
あったことは想像に難くありません。現在これほどの気骨のある書き手が存在す
るでしょうか。その意味でも不世出の書き手だろうと思いました。



歴史を学ぶ理由は、「歴史は流転する」からである。
おすすめ度 ★★★★★

下巻で取り上げているのは、日本軍が接収したダイヤモンドの話、
帝銀事件、松川事件、レッドパージ、そして朝鮮戦争など。

これは、あくまでもGHQ占領史を小説家松本清張が描いた
ルポタージュ。表面的な理解では、清張が自ら言うように、
「占領中の不思議な事件は、何もかもアメリカ占領軍の謀略であるという
一律の構成で片付けているような印象」を受ける。
それゆえに批判も受けたようだけれども、清張は「それぞれの
事件を追及してみて、帰納的にそういう結果になったにすぎないのである。」
と答えている。

歴史を学ぶ理由は、「歴史は流転する」からである。
この本で昭和史の一端を知ることが出来るのであるが、
これを現在に当てはめて考えてみるとどうだろうか。

結局、究極的には自国の利益しか考えていないアメリカ。
そのアメリカ一辺倒の外交姿勢の日本。
近隣のアジア諸国、中国や韓国との緊張感の高まり。
日本と中韓の緊張感が高まれば高まるほど極東の軍事力の
必要性が増し、米軍の存在理由がそこに生まれ、
日本が再び軍事大国としての道を歩みだす・・・。

深読みしすぎ?

どうなんだろう。

ちょっと読むのに疲れたけど、考えさせられる1冊でした。




世界の一部
おすすめ度 ★★★★★

日本のとある地方で起こった事件が、世界史の年表に記載されるような出来事に収斂する流れの一角を占めていたのかもしれない。読了後の第一印象である。むろん、そうでは無い可能性もある。ここで自分で考える必要が生じる。本当なのか、そうではないのか、あるいは別の可能性があるのか。面倒ではあるものの、知的刺激に富んだ作業である。いかんせん、半世紀以上も前の事件ばかりなので、今さらという感がなきにしもあらずだが、未来は過去に学ぶことが多いのも事実ゆえに、考察すること自体は決して無駄な作業とはいえないだろう。

戦後に数々の事件や出来事。その事だけを取り出してみれば、全体の把握はできない。大切なのは時代背景をひっくるめた視点で考えることである。言ってみれば市井の人々から距離を置いて、大所高所から見る視点である。むろん、これは大変な作業である。ややもすれば、メディアが流布する言説を疑いもせずに受け止めるほうが楽である。しかも、そういう人々が大多数をしめるのが現状とあっては、無理に大勢に逆らわないのも処世術なのかもしれない。このあたりは難しいところではある。



巨大な言論人としての清張の正義感
おすすめ度 ★★★★★

上巻に続き、日本の近戦後の闇を描き出して行く作品。日本をそれぞれの権益のためにとことん利用しようとしたGHQの各部局、自分独自のアジア構想のために多くの国や兵力や人間を駒のようにあやつろうとして挫折したマッカーサー、そしてGHQに絡みついて利権にむらがり、結局は暗黒を内包したままの現代の日本につながる底流を築いた日本の政・財・官。清張がこの作品を書いた当時にして既に、これらの蠢動の真相は手の届かないところに消え去ろうとしていた。清張の憤怒や焦燥、ペンをとる者としての使命感、正義感、そして反骨精神が行間に満ちている。大岡昇平との論争の一端も記されているが、当時の作家の社会意識の高さを伺わせる。終戦60年、今日の日本では正義の怒りが影を潜め、暴力と不正と隠匿が横行している。道理が通る社会を…と、やはり思わずにはいられない。しばらくは清張の巨大さに没頭してみようかという気になってきた。



今なお晴れない「黒い霧」
おすすめ度 ★★★★★

 これは,不世出の社会派推理小説作家である松本清張が,GHQ占領下の日本の暗部にメスを入れた貴重なノンフィクション作品である。下巻では,接収ダイヤ問題,帝銀事件,鹿地亘事件,松川事件,追放とレッド・パージ,朝鮮戦争が扱われている。

 下巻での白眉は,帝銀事件,そして,「戦後三大鉄道謀略事件」とも呼ばれるものの一つ松川事件であろう。特に,「青酸カリ」により12人の死者を出し,容疑者が裁判で死刑を宣告され確定しながらも,ついに刑が執行されなかった帝銀事件の奇怪さと,その背後に見え隠れする「黒い霧」とは,忘れてはならないものであろう。必ずしも十分ではない資料と資料との間を,点と点とを繋ぎ合わせていくように推理,推測した上で,を少しでも晴らすようにと一つの仮説を立てていく清張の力量には並々ならぬものを感じる。
そして,最も重要なことは,これらの事件の存在すら忘れられかけている現在,GHQの日本占領史の裏の裏にまで迫るような迫力で書かれた作品は殆ど存在しないということである。もちろん,若干の論理展開の荒い部分ば感じられることは間違いない(本書を巡っては,清張と大岡昇平との間で論争らしきものも起こったようである。)。しかし,さらに混迷の度を深めている21世紀のはじまりに,日本における「戦後統治」の実像を辿る資料として,本書は,やはり一級のものというべきであろう。

 本書は,しばらく入手困難であったが,最近の清張ブームに伴い,久々に新装版として帰ってきた。このような歴史的著作物が消え去ることなく復活したことに,心から賛辞を送りたい。


大変良く出来ています。
おすすめ度 ★★★★★

まさに夢のコラボです 。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。


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