10年分の日記おすすめ度
★★★★☆
ダウンタウンのブレーン的存在である放送作家の倉本美津留が、昔TVブロスの連載で次のように語ったことがある。
『よゐこはダウンタウンの先へ行けたかもしれない』
ここでの「ダウンタウンの先」とは、ネタの世界観という意味においてである。倉本氏はダウンタウンのトークにはあまり興味がない旨の発言もあるので、話芸ではなく、新しい世界観を持った芸人としてよゐこを評価したのだろう。
事実、倉本氏は無名だったよゐこ(当時はなめくぢ)をいち早くTV番組のレギュラーに起用した。松尾貴史がメインの「すとらびん式」がそれで、番組の合間に突然彼らのコントが始まるのだが、これが今では考えられないくらいシュールな世界だった。我関せずといった風で淡々とこなす姿は衝撃的であった。
それから、「MBSヤングタウン」というラジオ番組で、古田新太をメインとしてレギュラー出演を果たすのだが、ここでの有野の反射速度が素晴らしかった。古田が何かボケるたび、それに被せるようにボケるのだが、それが抜群だった。
この番組の構成も倉本氏が担当していたが、古田が番組を卒業し、よゐこがメインに昇格する際に番組から外されてしまう。
もし、倉本氏がよゐこがメインに昇格後も構成を手掛けていれば、「ダウンタウンの先」が実現していたのかもしれない。氏がそれを残念そうに語っていたのが印象的だった。
さて、本書はよゐこがメインとなったラジオにおいて始まった「芸能日記」のコーナーの書籍化である。東京の仕事で彼らが有名芸能人と出会った際のエピソードを日記風に濱口・有野がそれぞれ読み上げる、というコーナーである。しかし、この面白さは活字では伝わりにくい。彼らの語り口調があってこその面白さなので、ラジオのリスナー以外には伝わりにくいと思う。
筆者は、冒頭に収録されているもんたよしのりの回('96年)をリアルタイムで聴いていたので懐かしくも楽しかった。
凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★
はっきりいって、すさまじい出来です
。これを知らずして新しい時代のエンターテイメントは語れません。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!