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ゴルファーズ検定

+ 悪果 +

悪果

黒川 博行
おすすめ度:★★★★★
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異能の人を無能にする組織
おすすめ度 ★★★★★

先日、第138回の直木賞芥川賞が発表され大きく報道された。直木賞の候補作である黒川博行の「悪果」という小説は落選はしたものの大変完成度の高いハードボイルド小説だと感じた。
 舞台は大阪、架空のB級警察署「今里署」。そこに勤めるノンキャリアの暴犯係の堀内という四十歳の刑事が主人公。優秀なマル暴の刑事であるが故に地回りのヤクザと関わり、ネタ元という協力者を培養する。そのためには必要経費を含めて自前で賄うために非合法なシノギに手を染めて行かざるえない。
官僚の中の官僚組織とまで言われる階級重視の警察の中で、出世や昇進を諦めた現場の刑事の葛藤と欲望を綿密な取材と虚構を織り交ぜながら読み手をどんどんと作品に引き込んでいく力はさすがに作家の25年のキャリアを感じさせる。
堀内はネタ元から得た大掛かりな賭博開帳の情報を元に相棒の伊達と内偵を続け、賭博開帳の現場を一毛打尽にし、暴力団の組を一つ壊滅状態にする。しかしながらこの検挙も係長佐伯の手柄になっても自分たちの昇進や査定にはなんの関係もない。堀内には別の狙いがあった。賭博の張り客の中にいた専修学校の理事長に対して、子飼いの経済誌のオーナーで強請屋の坂辺を使って暴露記事を書かない代わりに雑誌の広告料の名目で金をせしめようとする。堀内のシノギは坂辺を使った強請であり、同じ手口で何人かの広告主を得ていた。
しかしながら専修学校の理事長の森本は一筋縄でいく相手ではなく、坂辺はひき逃げに見せかけた事故で殺され、堀内は警察手帳をヤクザらしき男達に奪われる。相棒の伊達とともに警察手帳を奪還するために隠密での行動を起こす。リミットは装備点検がある月曜の朝まで三日間である。
警察の暗部を抉るように書きながらも、単なるエンターテーメントに陥らず、そこに潜む人間に心理を巧みに描く。そう言えば「仁義」と「利欲」の間で相戦う胸中というものは孟子が説いた儒教の教えでもある。
ともすれば官僚組織というものは異能の人物を無能の人にするものであるということか。



世の中カネやカネや
おすすめ度 ★★★★☆

 悪漢警官小説だが、とにかく出てくる警官のすべてが悪漢とは…。大阪府警そのものを悪の巣窟にしている。このどでかいフィクションがあってこそ、成立する物語世界である。いい人がほとんど出てこない。大義もない。ここまで腐りきった世界を作り上げるのはなかなかのもの。
 だけど、世界にはこんな警察機構も実際あるだろう。日本人に生まれて、良かったー!(織田裕二かっ)



もちろん、フィクションです。
おすすめ度 ★★★★☆

日本を舞台にした国内ミステリの舞台になる都市は、圧倒的に東京が多いが、これは大阪が舞台。警視庁が舞台になるとフィクションだと認識できるくせに、大阪府警が舞台になると現実と区別がつかなくなるアホな読者が多いようだ。これも、おなじみの東京メディアの偏向報道のなせる業か。本作のもつリアリティーは、あくまでも著者の筆力のたまもの。かしこい読者は勘違いしないでね。



湘南ダディは読みました。
おすすめ度 ★★★★☆

間違いなく面白いです。最後の方になると一気に結末まで読みたい気持ちと、読み終わってしまうのが勿体ないような気持ちのせめぎ合いになるほど刺激的な作品です。
大阪今里署 暴犯課の担当巡査部長 通称マル暴担の堀内と相棒の伊達が主人公。このコンビの関西弁でのやり取りは、広島弁を流行させた「仁義なき戦い」のように見事に現実感をだしています。
二人とも平気で暴力団の組長と一緒に飲んだり麻雀をするし、情報を横流して裏で強請りの片棒を担ぎ小遣いを稼ぐシノギを行ったりする。現場方の警官たちは強制的に認印を提出させられて署内で支給される正規の手当はキャリア組の幹部連に吸い上げられてしまうため、シノギをしなければ情報屋を維持していくことも出来ないからだ。堀内がネタ元の田代から淇道会が胴元となる賭博が行われる情報を得て、閉店後のカラオケボックスで開帳されている賭場に踏み込み組員や客を一斉捕縛する。客の中には学校法人の理事長森本がいて、堀内はいつものように経済情報誌を発行している坂辺を利用して森本を強請ろうとする。ところが坂辺が帰宅の途中ひき逃げされて死亡、堀内も顔見知りのない暴力団員に付け狙われ、挙句に警察手帖を奪われ逆に新聞社にシャブと一緒送りつけるぞと脅かされることになる。

坂辺の死をめぐって森本の周辺をさぐるあたりの二人の行動もいかにもプロらしく、謎解きも一級品に仕上がっています。堀内と伊達は決して互いを信頼しあっているわけではないし、それぞれのシノギも詮索したりはしないのですが、相棒として互いにやれるデカとして認めあっています。大阪の盛り場の宵闇をこの二人が肩で風をきりながら動き回る様子が眼に浮ぶようです。最終部の盛り上がりもご都合主義の大団円などにせず渋い味わいをのこして終わります。闇にうごめく汗臭い男の世界を圧倒的な筆力で見事に描きつくしたハードボイルドの傑作といえるでしょう。



関西アウトロー
おすすめ度 ★★★★★

黒川博行はもっと評価されていい作家だと思う。この作品は近年にないピカレスク小説。リアリティはそこいらのノンフィクションを蹴散らし、読者の頭の中で人物が動き回る。警察官がイイ人ばかりじゃないことは皆が気付いている。配役を慎重にして、是非映画化して欲しい!



凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★

非常に素晴らしい一品だと思います 。他の方がコメントされているとおり、
ホント満点を付けても良い出来です。


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